塗料の情報館

塗膜不良対策建築編

下地、気象条件に関する塗膜不良

ここのコーナーでは、下地の悪い箇所への塗装、密着の悪い部材・素材への塗装、旧塗膜が何かわからない上への塗装についての悪戦苦闘の数々をご紹介いたします。

塗り替え時には、建物の劣化の度合いによって水分がしみこんでいる場合も多く、塗装することで水分の逃げ場がなくなり塗膜を押し上げてふくれが発生することが多々あります。または浴室など、湿度が高い場所への塗装も場合によっては考えないといけないケースもあります。そうした悪条件での塗装での不具合をご紹介いたします。

水蒸気は最強の敵 白化・ブラッシング 下地の汚れ・ワックスによる不具合
塗料の素材適正 旧塗膜への適正 高湿度での塗装
汚れ

水蒸気は最強の敵

ケース1 防水塗料のふくれ
屋上防水の場合コンクリートの土間にほこりや砂、コケなどが堆積し、又コンクリート表面が経年劣化で磨耗して削れた砂がまた 表面に堆積していきます。これらを除去しないで塗装すると、余計な水分と空気をはさんでしまうことになりますので、塗装後にふくれが発生します。
また、下地の劣化が著しくて水を吸い込みやすい下地の場合はよけいふくれが発生しやすいので、特殊な工法が必要です。 目地がある場合は目地から水分が浸入しやすくなっておりますのでシーリングの打ち替えが必要です  
対処法
・高圧洗浄をしっかりと行う。下地補修をしっかりする。
・必要に応じて脱気筒を取り付ける。通気緩衝シート工法などを取り入れる。
・目地は重要なので、ここをきちんと掘り下げてシーリングで充填する。
・乾燥させた状態で塗装する。
・旧塗膜が古すぎる場合ははがす   
ケース2 外壁塗料のふくれ
下塗り塗装後に降雨などにあうと水分を含んで、上塗り塗装後にふくれが発生することがあります。
また、下地の劣化が著しく漏水など水分の進入が認められる場合は塗装したあとにふくれがでる可能性もあります。
出来る限りサッシ周りのシーリングも打ち替え、水切りの下もシーリングで充填することをお勧めします。下地補修もしっかり行い、 水が浸入すると思われる場所は徹底的にふさがないと塗装しても意味がありません。弾性外装材は特にふくれやすいので、注意が必要です  
対処法
 ・下塗り塗装後に降雨にあったら、一日乾燥させる。
・下地の極端に悪い建物は弾性塗料は避けて通気型の塗料を選ぶ。
・シーリングやクラック補修など、下地補修をきちんとしないと塗装しても意味がない  
ケース3 床材の浮き・剥離
工場の床などは水をまいて洗浄することが多いので、常に劣悪な環境にあるともいえます。
自動車や歩行者が容赦なく通行し、油がしみこんでいて、時にはタイヤを動かしたり、重たいものをのっけたり、 落としたりと様々な負荷がかかります。
下地が悪いと一撃で剥離することになります。防水にしても、床にしても、下地作りが全てといっても過言ではありません。 ここで費用をケチるとすぐに剥がれて何にもならないということになります  
対処法
・できるだけ新しいコンクリート・モルタルにする。
・できるだけ汚れを除去する。
・水をまく場合は側溝と排水溝に水を誘導して、土中に吸い込まないようにする。
・衝撃はなるべくかけない。
・使用条件の厳しい場所は、厚膜のウレタンかエポキシを塗装する。ただしこれは素人には無理。
・油、ガソリンなどを使用する場合は2液型ウレタン塗料を使用する。   
このページの上へ

白化・ブラッシング

ケース1 高温多湿時に起きる
塗装したところ、見る見るうちに艶が引けて白っぽくなる現象を白化・ブラッシングといいます。
高温多湿時の夏におきやすい現象です。これは、塗膜の中に水分の分子が入り込んでしまうために起きます。  
対処法
特効薬はないのですが、希釈シンナーを乾燥の遅いものを使う。ヒーターなどであぶって水分を飛ばす。風を送って湿気を分散させる。などが考えられます  
ケース2 乾燥の速い塗料に起きる
ブラッシングは乾燥の速い塗料ほどなりやすいです。例えばラッカーとかウレタンです。 ウレタンでも、弱溶剤ではなくてウレタンシンナー希釈の飛びの早いほうがなりやすい傾向にあります。 (建築用塗料の場合)  
対処法
 ケース1と同じ  
ケース3 顔料の多い色に起きる
同じ種類の塗料でも、淡彩色と濃彩色の塗料では、濃彩色の方に起こりやすい傾向があります。 顔料が多いと水分の分子が入り込みやすいと思われます。  
対処法
ケース1と同じ   
ケース4 艶を消せば消すほど起きる
油性塗料などの艶を消す場合はフラットベースというつや消し剤を入れます。これにより、顔料だか樹脂の中に強引につや消し 分子を割り込ませて艶を消すのですが、同時に水分の入り込む余地も生まれ、ブラッシングしやすくなります  
対処法
つや消し剤の必要がない元からつや消しの塗料を使用する  
ケース5 朝露・結露
無事に仕上がっても、塗装した後もこのブラッシングは起きます。玄関扉に最も起きやすい現象「結露」。 鉄部の場合、内部が暖かく、外が冷たい場合いやでも結露します。朝露なども、鉄が冷えていて水分が大気中に多いと起こります。 これが毎日続くと、乾燥硬化している塗料でも白化が生じます。マンションにお住まいの方は、最上階よりも湿気の多い下の階にいくほど この現象が見られます。しかし、塗膜そのものがやられているわけではなく、雑巾で拭けば元通りの色がでてきます。  
対処法
拭き取るしかない。次に塗り替えるときは淡彩色にしましょう   
このページの上へ

下地の汚れ・ワックスによる不具合

ケース1 ヤニ
たばこのヤニはやっかいです。塗料を何回塗装してもあとからにじんできたり、色ムラなどが起きやすいです。また何回塗装してもかぶりが悪くて大変です。  
対処法
ヤニ止めシーラー〜水性ビルデックを2回〜3回塗する。または塗料シンナー希釈セラマイルドを3回くらい塗装する※臭気があるが隠ぺい力は抜群。ただし下地が水性艶ありのときは塗装できません。 
ケース2 ワックス
最近発見した不具合です。最近家の中を掃除したり、艶をだしたりするのにワックスを使う人が増えているようで、 木の柱などを塗装するとウレタンでもはじくという現象が見られます。これは最悪です。たとえ塗装しても簡単に剥がれてしまいます。 爪で引っかく程度で剥離してしまうので始末が悪いです。  
対処法
 このような部屋にあたってしまった場合は、全面#100くらいのペーパーで研ぎ落とすしか ありません。あと、研いだあとシリコンオフでふき取ってください。非常に手間がかかります  
ケース3 油汚れ
厨房・台所に多い油汚れ。これも始末が悪いです。塗料を塗装するとはじきますし、剥離の原因になります。 にじみもあります。  
対処法
出来る限り洗剤できれいに落としてから関西ペイント「セラマイルド」を塗装してください。 艶ありにする場合はそれを塗装してから「セラMレタン」でいいと思います   
ケース4 カビ・コケ・藻
コロニアル屋根によく見られるコケ・藻などの上に、そのまま塗装すると必ずといっていいほど 粉吹雪のように塗膜が剥がれ落ちること必定です。また、外壁なども残したまま塗装すると後で下からコケや藻が侵食してきてまた同じ 状態になります。家の中はさらにカビの問題があります  
対処法
・屋根や外壁の場合は必ず高圧洗浄する。最近の材料はみんな防カビ・防藻材入りですのでそれを使用する。
・室内のカビの場合は、殺菌剤を塗布して一度室内の菌を殺し、乾燥させた上で防カビ材入りの塗料を塗装する。
ただし、ここで気をつけなければいけないのは、カビがはえるくらい湿度があるところの塗膜はかなり劣化しているので、 さらに殺菌するために相当脆弱な塗膜になってしまっている。下手に塗装すると全面割れが生じる。この場合は室内でも2液型のエポキシシーラーを 一度塗装して下地を固めた上で上塗りを塗装します。   
このページの上へ

塗料の素材適正

ケース1 新設コンクリートの場合
新設のコンクリートはアルカリ分が非常に強く、塗装をかけてもすぐに剥がれや変色などが 発生します  
対処法
最低でも2週間の養生期間を置く  
ケース2 亜鉛メッキ
亜鉛メッキに合成樹脂調合ペイントを塗装して、1年くらいすると、雨などの水分と塗料内の油脂分・亜鉛が反応して、 化学反応で金属石鹸なるものができます。これが塗膜を浮かし、剥がれさせます。剥がれている箇所を見ると白っぽいものがある と思います  
対処法
亜鉛メッキに塗装する際は必ず
・ウオッシュプライマーを塗装する。※上塗りに合成樹脂調合ペイントを塗装する場合
・2液型エポキシ錆止めエポマリンGXを塗装する。
・水性反応硬化型塗料を塗装する。
いずれかでいいですが、塗り替えの場合は2液エポキシ錆止めをお勧めします。詳しくはウオッシュプライマーのページで。   
ケース3 アルミ・ステンレス・プラスチック
もともと付着の悪い素材です。あまり塗るものでもないですし  
対処法
 共通して使用できるのは「スーパーエクセルプライマー」を下塗りして、上塗りをかける方法。 または2液型エポキシ錆止めを塗装する。プラスチックは専用プライマーを塗装する。塩ビなどはウレタンか水性反応硬化型塗料でも可能  
ケース4 銅板
銅板だけはどんな塗料を塗装しても剥がれます。まず何を塗装してもだめです。また、緑青なる錆は毒性がありますので 研磨もろくにできません。  
対処法
あえて塗装するとしたらウレタンシンナー希釈2液型ウレタンクリヤー「アレスレタンクリヤー」しかありません   
ケース5 トタン屋根
トタン屋根は昔から色々な塗料がでていますが、ここにエポキシ錆止めを塗装して剥離したケースがあります。防錆力と密着力 に優れたエポキシ錆止めを塗装したのになぜ剥がれたのでしょうか。
それは、強風などにあおられたトタン板がしなるために、固い塗膜のエポキシ錆止めが追従できずにパリパリ割れて剥がれてしまったのです  
対処法
 このように固定の甘いトタン板はきちんと打ちつけるか、または水性の錆止め・上塗りを 使用するなど柔軟性のある塗装仕様にしたほうがいい場合もあります  
ケース6 カラーベスト・洋瓦
乾式洋瓦の場合、カラースラリー層という色がついており、この上に普通の塗装をすると剥離します。この場合は 水谷ペイント「スラリー強化プライマー」を塗装しないといけません。具体的には、モニエル瓦・クボタ洋瓦(パラマウント)・ スカンジア瓦などがあてはまります  
対処法
 高圧洗浄とケレンでスラリー層を完全に除去する。
水谷ペイント「スラリー強化プライマー」を塗装する。上塗りは「水系シリコン」  
ケース7 新築マンション鉄扉枠
新築マンションの鉄扉の枠は工場製造、現場塗装仕上げの場合がほとんどだと思うのですが、 新設の場合は下地に「電着塗装」がされており極めて密着が悪く、普通のペンキを塗装すると爪でこすったくらいで剥がれます  
対処法
 バインダー代わりにエポキシ錆止め(2液)エスコを薄く塗装する。または「密着バインダー」を塗装してから上塗り塗装して色付けする。
これをもし怠ると全面ペーパー剥がし、再塗装という悲劇が待っています。  
ケース8 溶接箇所
溶接したばかりの鉄骨・鉄部に、すぐに塗装をするとあとで剥離してきます。これは、その部位が強アルカリになっている為で、ある程度養生期間が必要です。  
対処法
 中和剤で中性化させるか、変性エポキシ錆止めエスコを塗装する  
ケース9 外装塩ビゾル鋼板
最近密着の悪い塩ビゾル鋼板の外装が増えてきています。特に賃貸マンションアパートとか。  
対処法
ニッペ「塩ビゾルウレタンプライマー」を塗布し、上塗はファインウレタンu100を塗装する。   
このページの上へ

旧塗膜への適正

ケース1 室内壁の場合
外壁を塗装するよりはるかに難しいのが室内塗装です。湿度・温度の上下に加えてヤニ・油・ほこり・洗剤・ 台所の熱・水蒸気などの影響を受けています。
水性の上に溶剤系を塗装すると縮む可能性がありますし、同じ水性を塗装しても乾燥の途中で旧塗膜が全面割れ・剥がれなど起きることも あります。天井のボード面は特に注意が必要です。どうも、塗装することで旧塗膜が「ふやける」状態になるらしく、それが一度ふやけた上に 塗装した塗料が乾燥硬化して収縮する。そこで全面剥がれという事態になるのです。塗り替えの塗り替えなどは特に注意が必要です。
また、別のケースでは、台所の壁の旧塗膜が水性だったらしく、溶剤型塗料を塗装したら溶け出しました。 塗料用シンナーで希釈するのでそんなに強力というわけではないのに、です。他の塗装した場所はなんともないのに、です。 この現場は今でも原因がわからない唯一のバミューダ海域として残っています  
対処法
問題が起きた場合は一度剥離したあと同じ塗料でもう一度塗装するしか手がありません  
ケース2 床の場合
床の場合は下に何が塗装されているかある程度判別つきますが、この塗り替えが又難しいのです。 下に水性が塗装されていた場合は同じ水性でないと2〜3回塗装した時点で剥離してきますし、アクリルの上にウレタンを塗装しても 剥離することがあります  
対処法
 メーカーで定められた下塗りを必ず塗装する。最初の塗装の場合は2液型ウレタンを塗装しておけば再塗装のさいに選定しやすい。 または、下地を完全研磨してはがす。または定期的に同系統の塗料で塗り替える  
ケース3 鉄部の場合
鉄部の場合でこわいのは、新築の時に亜鉛メッキの上に普通のペンキがそのまま下塗りもいれずに塗装されていた場合です。 かならずといっていいほど付着が悪くなっています。かといって普通の合成樹脂調合ペイントを塗装したのでは同じ結果になります。 また、鉄の下地に「黒皮(ミルスケール)」が残っていた場合も縮む可能性があります。
本当なら全面1種か2種ケレンではがすのが理想ですが、塗り替え工事ではなかなかそうもいきません。予算もありますし  
対処法
 玉砕覚悟で2液のエポキシ錆止めエスコを塗装する。浮いてきた塗膜は一度はがしてから塗装する。 消極的選択の場合は、亜鉛メッキ用のJIS-K-5629錆止めを塗装してから普通のペンキを塗装する  
このページの上へ

高湿度での塗装

ケース1 浴室
浴室や脱衣所などは常に湿気にさらされているので条件的に厳しく、塗膜が劣化しやすい環境にあります。
また、油脂分や石鹸などの栄養分も豊富でカビが非常に生えやすく、美観や衛生的にもよくありません。水蒸気は塗膜にとって一番の大敵で、ふやけやすく、剥がれやすい。 又、新たに塗装するときに下が弱まっているので、堅い塗料や、乾燥の早い塗料を塗装すると全面割れが発生するときもあります。非常にやっかいです。 ほとんどの場所で剥離や割れ、変色、カビなどの症状がでます。
鉄部に関しては最もさびやすいので、近年はほとんどがステンレスやアルミに置き換わっています  
対処法
・アルミなどに点錆などがでて塗り替える場合は2液型エポキシ錆止めエポマリンGXを塗装する。腐食している場合は素材ごと交換したほうが早い。 また、上塗りは溶剤型ウレタンかエポキシを使用する。1液型は不可。
・壁面の場合は、結露防止型塗料を使用する。が、これは場所によるので現地調査が必要です。ウレタン塗料か、 水性塗料「コスモクリーン」でいける場合もあるので。浴室は本当に選定がむずかしいです。プールサイドも同じく。
・換気することが最も重要です。
・木部の場合はノンロット205Nクリヤーを塗装する。ただし没水部は不可能  
ケース2 廊下・階段室
浴室に限らず、山間部のホテルなどの廊下、階段室も常に結露などの湿気に悩まされていると思います。実際現場に行ったこともありますが、 普通の水性エマルション塗料で塗装すると逆にカビが塗料を栄養分としてしまうので逆効果になります。  
対処法
  呼吸型塗料を使用する。たとえばスズカ「防露」。湿気があるときは吸い込み、 乾燥するときは吐き出す。また、防カビ材が入っているので換気さえ毎日行えばカビがはえることもほとんどありません。
私は結露の多い場所、浴室や階段室などに愛用しています。(ただし、それなりに下地補修を行う)  
このページの上へ

汚れ

ケース1 雨汁による汚れ
窓枠や庇などによく筋状に雨の流れる跡がつくのがこの汚れです。晴れている日にほこりやタイヤの磨耗カス、油汚れなどが庇の上やサッシの水切りなどの上にたまり、それが雨の日に一気におちてくるので汚れが筋状になって流れて跡がつきます。
幹線道路沿いの建物によく見られます  
対処法
低汚染型の溶剤系ウレタンを塗装する。これでも100%ではありませんが効果はあります  
ケース2 ブリードによる汚れ
シーリング剤を施工した上に塗装すると、何年かしてみみずばれのように黒く汚れの跡がでます。外壁のひび割れに沿って跡が浮き出ているのをよくみることがあるでしょう。
これはシーリング剤の可塑剤が表面にブリードしてきて、それにほこりなどの汚れがついてしまう現象です  
対処法
 ノンプリードタイプのシーリング剤がでているのでそれを使用する  
このページの上へ