塗料の情報館

大規模修繕

外壁診断について

このページでは、マンションなどの大型塗装物の塗り替え工事に際して通常行われる診断方法についてのコラムです。
塗料メーカーが主導で行うものや、設計事務所・マンション管理業協会などが主導で行う診断などがあります。
調査そのものの目的としては、現状どこまで劣化が進んでいるか写真と試験データなどを付記して住民の方に危機感をもって頂きたいのと、 数年先の劣化予測、適切な改修工法と時期などを検討するためのものです。

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写真撮影・目視調査

劣化状態を詳しく写真撮影します。
屋上防水・ベランダ防水
外壁
鉄骨階段・内部階段
廊下・ベランダ天井、壁面
鉄部全般
その他

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モルタルの浮き打診調査

ハンマーなどで外壁などをたたいてモルタルの浮きを調査する。浮いている箇所はカラカラと軽い音がするのですぐにわかる。
モルタルの浮きのみならず、欠損箇所もこれで調査できる。

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外壁塗膜付着強度引張試験


数え切れない位したのがこの引張試験。機械を使って外壁塗膜の付着力が1平方pあたり何kgあるかを測定する。
目安として7kg以上なら合格、3kgを下回れば危険という業界の標準がありますが、この試験も実施する価値はあるものの施工方法の決定にあまり影響を与えるものでもありません。

というのも、付着の弱い外壁塗膜は見るからに判別できるし、仮に試験で悪い結果が連発ででたとしても、全面塗膜を剥がすという工法は 予算的に無理がある。近年のたたきあい見積もりで全面旧塗膜をはがすなんていうのはよほど財政的にゆとりのあるマンションしかできないし、 業者は見積もりが高くなるのでそんな工法は最初から組まない。

一般的には「高圧洗浄とケレン作業で付着力の悪い塗膜は出来る限り落として塗り替える」という仕様に落ち着いてしまう。 それならこんな手間のかかる試験などしないでも最初からその仕様で説明すれば済むことだと思う。 この調査を行うときはどこか改修設計士さんに依頼して、一軒だけにしておかないと外壁が試験の跡でボコボコになります。

それと、あるマンションでこういう問題が起きた。あるベランダ外壁では付着強度が7kg以上、別のベランダ外壁では3kgぐらいと出た。 その部屋の住人が不安がって、「塗膜を全部剥がして塗装しろ」という至極当然の要求をしましたが、一戸だけ全部はがして塗装するというのは他の居住者に 比べて差別化になってしまう。たとえ付着強度が弱かったとしても一戸だけ優遇措置をすることはできない。しかも、全面的に3kgではなくて たまたま試験をした箇所が低い数値がでたということもある。見積もりに一戸だけ全面剥がしなんていう見積もりもだせない。しかも個人のベランダといえども共用部である。
何千箇所という試験をしてきましたが、全面旧塗膜を剥がして塗り替えをするなんていう現場はいまだかつて一つも見たことがありません。
あるとすればよほど強力な改修設計士さんが入ったマンションの指定工事でしょう。よほど古い建物で、吹きつけタイルクラスであればバイオ剥離工法というのもあります。無機リシンとか無機スタッコなどははがれないので全面削って強制的に平滑にしたマンションも目撃したことがあります。 <

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中性化試験


この試験の方法は、ドリルで直径5センチくらいのコアサンプルを外壁より抜き出し、表面に「1%フェノールフタレン液」を吹きかけて、 コンクリートが表面層から何センチ酸性化しているかを測定する試験です。
アルカリ分を保っていれば赤っぽく変色しますが、酸性化していれば透明のままです(ph10以下)。これで、外壁が表面層から何センチまで酸性化が進んでいるか 知ることができます。
つまり、酸性化が進めばそれだけ内部の鉄筋も錆びて爆裂を起こしますし、コンクリートも劣化が進みます。

改正建築基準法の資料が手元にないので正確にはわかりませんが、1986年の資料で鉄筋の最小かぶり厚は、屋外で仕上げなしの場合は 40mm、仕上げありの場合は30mmとなっています。塗装がされている場合は30mm以上酸性化が進めば非常にまずいということになります。 ただ、この30mmはコンクリート本体で、それにモルタルの厚さや外壁塗膜の厚みが加わるので実際はもっと深いと思います。
この試験は深い数値がでるとそれだけ悪環境下にあるということですので早期の塗り替えが必要になります。

さらに重要なのは、コンクリートの密度の高さと既存塗膜の劣化状態によります。新築時のコンクリートが緻密であれば水分の含浸率が 少ないのでそれだけ酸性雨がしみこむ度合いも減り、躯体自体の酸性化も少なくてすみますが、これが新築時にコンクリートに海砂を使っていたり、 密度が薄い場合はそれだけ水分の浸入が著しく、鉄筋が錆びる可能性も高くなります。また、保護するべき塗膜の劣化が著しい場合もそれだけ 水分の浸入を許すことになりますので中性化の度合い、進行の早さが変わってきます。
これらトータルに建物をみて判断を下すことが重要です。

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鉄筋のかぶり厚調査

専用の機械をもちいてコンクリート内部の鉄筋がどのくらいの深さにあるか調査し、逆にコンクリートのかぶり厚を測定する。
これも結果がでたところで塗装工事ではいかんともしがたい。要するに中性化進行に付随して、これだけしかかぶり厚がないので危険ですよという アピールをするためのもの

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塩分濃度測定試験

中性化試験同様コア抜きサンプルにより、コンクリート中の塩分濃度を測定する。
横浜市金沢区のマンションで一度したことがありますが方法は忘れました。特に必要ないでしょう

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シュミットハンマー圧縮強度試験

コンクリートの圧縮強度を測定する試験。
ここまでくると無料サービスではできないし、行っている団体や会社も少ない。結果がでたところで塗装工事ではいかんともしがたい。

通常は新築完成時に検査目的で行われるケースが多いと思われる。圧縮強度が足りなければ手抜きということになる。
現在では非破壊式のテストハンマー機がでている。

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赤外線映像装置による調査

建物の温度を映像化することで水分の浸入や、躯体の浮きの程度を判断する。水分が浸入している箇所は水色の低温領域で示される。
説得力はあるものの、この試験を行っているところは数社しかない。また、どの程度正確かは判断できない。
建物が高いところまである、雨がふった直後、寒い曇り空の日、室内で冷暖房をたいている、汚れがしみついている、など状況によって 数値が変わってくると思われるのでよくはわからない。

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2005年マンション耐震強度偽造問題

これまではマンションのひび割れというと、伸縮応力・アルカリ骨材反応、ジャンカ、地震などの外部応力などが一般的でしたが、2005年に常識をくつがえす事件が起こりました。
これによるひび割れの原因として、
・数値偽造による鉄筋の本数削減→コンクリートに高負荷がかかりひび割れが入る。
・コンクリートに水を混ぜすぎる。→密度がスカスカなので収縮が激しくひび割れる。
・柱そのものが細い

など、新築時の手抜き工事によるひび割れがクローズアップされるようになりました。
このレベルだともはや今までの外壁診断・改修工法ではなんの改善効果もでないということになり、これからの建物診断は「設計図」段階からの追跡調査+鉄筋探査+耐震強度測定まで行わなければいけなくなり、専門機関でないと対応できなくなったばかりか莫大な費用がかかります。診断を無料で行えるようなレベルではありません。それなりの機関にご相談ください。

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